手術直後の目覚め
手術が終わって目を覚ました瞬間、まず感じたのは「生きている」という安堵でした。
今の手術は自分で歩いて手術室に入りますが、私が手術を受けた時は病室からベッドでそのまま手術室に入りました
今は病気に立ち向かうという気持ちにさせるように自分の足で手術室に入る、と聞いたことがあります。
目が覚めたのはICU(集中治療室)です。
手術後だからICUですよね。
体にはチューブがいくつもつながれ、点滴、ドレーン、尿管…。
身動きはほとんど取れず、腹部の痛みと重だるさが全身に広がっていました。
ぼんやりとした意識の中で「これが大腸を取ったあとの体なんだ」と実感しました。
麻酔から覚めたときには麻酔の譫妄はなかったような記憶です
ただただ手術した傷口が痛い、しか覚えていません。
手術時間が8時間程度かかったようです。
お腹を長時間を開けていたからか高熱が出たのも今となっては良い思い出です(笑)
さて、目が覚めてからずっと痛い、傷口が病んでいます。
絶対安静なので身動きもとれずひたすら痛い。
痛み止めはずっと打ち続けることはできず、地獄の痛みが続いています
時間の間隔を空けないと売ってくれない。この時だけ本当にこの時だけ看護師さんが天使ではなくあく(・・・以下自粛)
痛み止めを使っても完全には消えない違和感。寝返りを打つたびに体中がきしみました。
入院生活の始まり
たぶん夜中に睡眠剤を入れてくれたんでしょうね
最初の夜はなんとか眠れたようです。
さて、目が覚めると看護師さんからは「さあ、歩きましょう」と一言。
え、昨日の手術を受けたばかりですよ、すぐに歩くの?
でも、これは本当に歩いた方がいいようです。
お腹を開けて閉じると今までと内臓の位置がかわります。特に今回は大腸を全摘しているので、大きなスペースが空いています。
私の場合はその場所に胃〜十二指腸〜小腸が収まるのですが、癒着をして最悪腸閉塞が起きるようです。
本来収まって欲しい場所に収まるように歩いて体(お腹)を動かして腸閉塞を防ぐようです。
でも、私腸閉塞が起きて3週間程度何も食べられませんでした。。。
最初の数日は点滴で栄養をとり、食事は一切なし。口の中は乾き、喉が張りつくような感覚が続きました。
3日目くらいからようやく少量の水を口にできるようになり、それだけで小さな幸せを感じました。
通常だと、1週間ほどで重湯から三分がゆからだんだんと食事がはじまります。
でも私の場合は腸閉塞になってしまったため3週間ぐらい絶食
2週間ぐらいは絶食で治るのを待ちましたが、ぜんぜん治る気配がなく鼻からチューブを胃まで降ろして24時間胃液を排出させます。
ご飯を食べなくても胃液は出続けます。腸閉塞になっている部分に圧力を掛けるような形になるようでその圧力を抜くために胃液を抜くようです。
最初からそうすればと思いましたが、鼻には違和感、夜も眠れない、チューブがずっと入っているので心も折れてました。
入院期間中一番辛かったのがこの時期でした
この大腸全摘という手術は2段階で行われます
1回目の手術で大腸を切除をして、いったん人工肛門をつくります。
この辺りが詳しくないのですが、そのまま大腸を直腸と繋げると予後がわるいようで1ヶ月ぐらい期間をあけていた記憶です
その後、人工肛門を外して小腸と直腸をつなげる手術を行います
トイレとの新しい関係
さて、2段階の手術を経て食事も少しずつではありますが水っぽい物から段々と固形に変わっていきます
大腸を失ったことで、排便の感覚は大きく変わりました。
便をためる機能がないため、最初のうちは1日に10回近くトイレに行くこともありました。
というか今でもトイレは10回ぐらいでこの部分は変わらずです
食べたものが体を通り抜けるスピードが早く、トイレに行くたびに「これが新しい自分の体なんだ」と実感しました。
手術前には心を決めたので悲観的にはなっていなく、むしろ早くこの体に慣れなきゃという一心でした。
退院してからは便の状態や回数は日ごとに変わり、予測が難しいため、外出時の不安もありました。
でも、やはり自分の体だからなのか慣れるんですね。
時間が経つにつれて少しずつ体が適応し、3か月後には回数も落ち着き、生活のリズムが戻ってきました。
ちなみに便は固形ではなくほぼ水っぽくかわります
大腸の役目は水分の吸収で栄養は小腸から吸収されます。大腸が無くなったので水分が吸収されず水っぽくなるのです
食事の再スタート
食事は今でも気をつけています。
この気をつけるというのは、大腸全摘をしたからというよりは腸閉塞になったことで気をつけています。
腸閉塞は私の場合小腸の通り道が癒着によって狭まることをさします。
胃を切除しているわけではないので、基本的には食べられないものがないのですが、唯一消化の悪い物は食べないようにしています。
具体的には貝類、海藻類、キノコ類などは口にしていません。
ちょうど嫌いな食べ物だったのであまり苦労はしていないですが、少しでも入っていると気になります。
お店でオムライスを食べたら、綺麗にマッシュルームだけ残しています(笑)
だだ、オムライスのご飯がチキンライスとだとチキンなのかマッシュルームなのか分からない時もあって口から・・(以後自粛)
手術してから1年?3年ぐらいは腸の動きを緩める薬を飲んでいましたが、今では飲んでいません。
体に慣れたから止めた記憶です。
「食べること」が怖くなる瞬間もありました。食後にお腹が張ったり、すぐトイレに行きたくなったりするたびに不安がよぎりました。
けれども、体が少しずつ回復するにつれて、「食べる喜び」も戻ってきました。
回復への道のり
退院してからも、完全に元通りの生活に戻るまでには時間がかかりました。
疲れやすく、長時間外出するのも難しい時期が続きました。
けれども、焦らず少しずつ体力を戻すことを意識しました。
• 毎日10分だけ歩く
• 体調に合わせて休む
• 検査結果を見ながら、少しずつ食事を増やす
そんな小さな積み重ねが、やがて「普通の日常」につながっていきました。
手術を乗り越えて感じたこと
手術後の生活は決して楽ではありません。
けれども今、振り返って強く思うのは、「手術を受けてよかった」ということです。
確かに不便さはあります。
しかし、がんのリスクを大きく減らし、これからの人生を生きられる安心感の方がはるかに大きいです。
「大腸を取ったからこそ、生きることの意味をより深く感じられるようになった」
今はそう思えるようになりました。
まとめ:手術の先にある新しい自分
大腸全摘手術は、体だけでなく心にも大きな変化をもたらします。
痛み、不安、そして再出発。そのすべてが自分の人生の一部になりました。
• 手術直後は苦しいが、少しずつ回復していく
• トイレや食事は変化するが、生活は取り戻せる
• 心の波を乗り越えるには時間と支えが必要
• そして、手術の先には新しい自分の生活がある
この経験を通して、私は「生きることを選ぶ強さ」を学びました。
もし、同じように手術を控えて不安な方がいたら――声を大にして伝えたいです。
「怖くても大丈夫。痛みの先には、ちゃんと日常が待っています。」
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